RZ250、ヤマハの2サイクルバイクは不死鳥だった。

みんなバイクに夢中だった。

今回はヤマハ RZ250というバイクのカタログを紹介するので、バイクの話を少し。

ひろしは高校生の時からバイクに乗っていた(昭和49年頃)。

昔は高校生がオートバイの免許を取るのが普通にあって、通学でも大きなバイクが走ってたんじゃ、それでは当時のバイクをいくつか紹介しよう。

出典:ウィキペディア ホンダドリームCB750

これはナナハンって言葉を流行らせたホンダドリームCB750じゃ。

昭和44年発売、ホンダの技術を結集した4サイクル4気筒67Psの736ccエンジンを積み、世界をうならせた名車。

量産オートバイで世界初の200km/hを超え、商業的にも大ヒットした。

ナナハンライダーってコミックもあったね。

出典:ウィキペディア カワサキ Z750

もう1台、これはCB750に負けずとカワサキが発売したZ750じゃ。

4サイクルDOHC4気筒エンジンを積み、迫力のデザインで大ヒットした。

出典:スズキGT750

なんとスズキには2サイクル水冷3気筒の750ccバイク、GT750があったんじゃ。

凄く大きく、怪物みたいな迫力があったね。

当時バイクは危険なイメージがあって、政治の都合か規制が厳しかったんじゃ、国内は750ccが最大でそれ以上は輸出向けしか無かった。

大型免許を取るのが超難しくて、10回以上滑るのがざらという憧れの免許。

みんなバイクに夢中で雑誌のオートバイモーターサイクリストなどを良く見たもんじゃ。

入門用の原付50ccだってスポーツタイプがたくさんあった。

特徴的なのは今と違ってバイクのエンジンは2サイクルエンジンが多かったことじゃ。

2サイクルって何か?

それでは簡単にエンジンの話をしよう。

4サイクルエンジン

まずは4サイクルエンジンの解説。

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) 4サイクルエンジン

今の車やバイクは全部4サイクルエンジンを積んでいる。

これはガソリンと空気の混合気に火花を飛ばして爆発させ、ピストンを押して軸を回転させる内燃機関の一種じゃ。イラストの右から混合気が入り左に燃焼ガスが出ていく。

4つの工程を繰り返すから4サイクルエンジンと呼ぶんじゃ。

  1. 吸入工程: ピストンが下がり混合気(燃料を含んだ空気)をシリンダ内に吸い込む。
  2. 圧縮工程: ピストンが上死点まで上がり混合気を圧縮する。
  3. 爆発工程: 点火プラグにより点火された混合気が燃焼し、燃焼ガスが膨張してピストンが下死点まで押し下げられる。
  4. 排気工程: 慣性によりピストンが上がり燃焼ガスをシリンダ外に押し出す。

この4工程で1回プラグが点火する。

<4サイクルエンジンの特徴>

1.吸気・排気バルブを駆動しなくてはならない為、構造が複雑。重くなり部品点数も多く

コストが高くなる。

2.ガソリンは直接タンクに入れ、潤滑オイルはオイルタンクに入れガソリンと混ざらない

ので排気ガスが2サイクルよりクリーン (燃えるのはガソリンだけ)。

3.2サイクルよりオイルトラブルは少なく耐久性が高い。

4.ガソリンを効率よく消費できる。

2サイクルエンジン

次は2サイクルエンジンじゃ。昔の軽自動車やバイクはほとんどこれだった。

4サイクルにこだわったのはホンダだけ。

今も草刈機など小さなエンジンは2サイクルを使ってるね。

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) 2サイクルエンジン

2サイクルエンジンもガソリンと空気の混合気を爆発させて回転を得る内燃機関の一種じゃ。その工程は2つで

  1. 吸入・圧縮工程: ピストンが上昇する間に排気と吸気の圧縮を行う。
  2. 爆発・排気行程: 燃料の燃焼(爆発)によりピストンが下降し、その後半で排気を行う。

この間に1回プラグで点火する(4サイクルは4工程で1回点火なので倍の点火回数)

イラストの右から混合気が入り左に燃焼ガスが出ていく。

掃気は2サイクルエンジン特有の動作で、圧力のかかった新気(混合気または空気)をシリンダー内へ導入し、その勢いとピストンの圧縮力で同時に燃焼ガスを排出する。4サイクルのようなバルブは無い。

4サイクルの4工程分の吸気、排気を2工程で行うんじゃ。だから2サイクルエンジンと呼ばれる。

<2サイクルエンジンの特徴>

1.吸気・排気バルブを必要としない簡素な構造で組み立て易く安価、軽量。

2.重量のわりにパワーを出しやすい。

3.ガソリンは2サイクルオイルを混ぜて、混合ガソリンにしなければならず面倒。

その後自動でオイルタンクから供給するようになった (スズキCCIS方式など)。

4.ガソリンに混ぜたオイルが燃え切らずマフラーがベトベトに汚れる、低公害化が困難。

2サイクルエンジンが絶滅状態なのは環境規制が原因なんじゃ。

勢いを失った2サイクルエンジン

昭和40年代頃まで、ほとんどのオートバイや軽自動車は2サイクルエンジンを積んでいた。構造が簡単で馬力が出しやすかったからね。

出典:ウィキペディア スズキ・ハスラー50

これはひろしが高校生の時、初めて買ってもらったスズキ・ハスラー50じゃ(少し細部が違うが同じ青色だった)。もちろん2サイクルエンジン、バリバリ言う特有の音で元気に走ったがマフラーから青白い排気ガスを出し、オイルがベタ付いてバイクや服が汚れる欠点があった。ツーリングでは2サイクル車はオイルが飛ぶので最後尾にされる(笑)。

今はハスラーって軽自動車が人気だが、この頃のバイクの名前が復活したんじゃ。

出典:ウィキペディア ヤマハRD250

あの頃は250や400ccクラスも2サイクル全盛期。これはヤマハ・RD250じゃ。

各社ともコストの問題で250ccと400ccはエンジン以外、フレームなどは共通で重いために速くない250が多かった。

しかし昭和50年代になると2サイクルは4サイクルに変わっていく、世の中は車もオートバイも環境問題に取り組む必要があったからじゃ。

2サイクルエンジンは日陰者扱いになり、そのまま消え去るのかと思われた。

奇跡の2サイクル復活、ヤマハRZ250登場

250ccクラスは車検が無いから人気だが、400ccのおさがりで重く物足りない空気があったが、ヤマハはその空気を吹き飛ばす強烈なモデルを発売した。

1980年8月に株式会社ヤマハ発動機から販売された国内向け専用の250ccオートバイ

RZ250(Zは水冷、Rは究極を意味する)が発売された。

何が凄いって消え去るのかと思われた2サイクルエンジンを水冷化して復活させたんじゃ。

まさに革新的な2サイクルオートバイが登場した。

レーサーを思わせる走行性能、ヤマハの本気がさく裂したバイクじゃ。

RDの後継だが、凄い迫力のデザインじゃ。注文から納車まで3か月待ちという状況がしばらく続くほどの大ヒット作となった。

軽量化が各所で計られ樹脂の部分も多い、パワーウェイトレシオも3.97kg/psで上位排気量の4ストローク400ccクラスとも対等以上に渡り合える性能だったことから、「400キラー」と呼ばれた。

当時のヤマハ製市販レーサーであるTZと同じボア・ストローク(54mm×54mm)の水冷2ストローク並列2気筒のレイアウトを採り、同クラスとして当時トップの35psを誇った。

黒塗りのチャンバーもレーサーの雰囲気を醸し出してたね。

リアサスペンションにはロードスポーツモデル初採用のモノショック(モノクロスサスペンション)、新デザインのキャストホイール、大型のハロゲンヘッドライトなど、当時の最先端を装備していたんじゃ。

アルミホイールは渦巻デザインでカッコ良かった。

株式会社GKインダストリアルデザイン研究所(現・株式会社GKダイナミックス)の手によるデザインも好評じゃ。通称日の丸カラーともいわれる初期型のホワイトモデルは美しいパールペイントで以降のホワイトはソリッドホワイトになった。

当時、友人が黒いRZ250を買ったので運転させてもらったが、その加速たるやすさまじかった。

ジェットタイプのヘルメットなら涙が流れるほどの風圧だったんじゃ。

その後もRZ250はモデルチェンジを繰り返し優れた走行性能を見せつけてくれた。

今もファンが多く、高額で取引されるのはご存知と思う。

今回は2サイクルを復活させヤマハの本気を見せてくれたRZ250でした。

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