百式司令部偵察機は虎になって数千Kmを帰って来たんじゃ

期待の偵察機

人を待つと言うのは長く心配なものです、ましてや太平洋戦争の頃、戦地の赴く人が帰って来るのを家族や戦友がどれほど待ち望んだ事か・・

さて今回は千里(1里=4Km)を飛んで帰って来た陸軍偵察機の話じゃ。

その名は百式司令部偵察機

出典:ウィキペディア 百式司令部偵察機

なめらかで綺麗な姿の双発機じゃのう。

陸軍の機体通し番号であるキ番号は「キ46」、愛称は「新司偵」、略称は「百式司偵」「ヨンロク」などと呼ばれた。
「百式」とは皇紀2600年(1940年)に仮採用されたことから名づけられたもので、この年に採用された海軍機はあの有名な零戦の零を付けた、零戦と同い年なんじゃ。
百式司偵は九七式司令部偵察機の後継機として三菱重工業が開発・製造した。

出典:ファインモールド 九七式司令部偵察機

これは朝日新聞の「神風号」も有名じゃな。朝日新聞社は1937年5月12日にロンドンで行われるジョージ6世の戴冠式奉祝の名のもとに、亜欧連絡飛行を計画し試作2号機を払い下げるよう陸軍に依頼し実現した。

百式司偵には一型から四型まで存在し、一型・四型は試作型、二型・三型は量産され太平洋戦争において陸軍の主力偵察機として活躍した。

上は百式司偵二型

試作型の一型の初飛行は1939年でエンジンにハ26-I(出力875HP)を2基搭載、双発にしたのは遠距離を飛ぶとき片方が故障しても飛べるから。この時点で一式戦闘機や零戦の試作機を上回る速度540km/hを記録したが陸運の要求は600Km/hで更に改良すると三菱が約束し1940年に仮採用となり少数が中国戦線に配備されたんじゃ。

そして1941年にエンジンをハ102(出力1080HP)に換装した二型になり日本軍機で始めて600Km/hを超えた。二型は太平洋戦争開戦と同時に各戦線で偵察任務に就いたんじゃが、その高性能には海軍も注目し海軍の作戦にも協力するなどの活躍を見せた。

全長:11m、全幅:14.7m、自重:3.3t、航続距離:2,474km/4,000km(落下タンク装備)、上昇限度:10,720m

下は1943年登場した三型でエンジンをハ112-II(出力1500HP)に換装、増設燃料タンクや落下タンクを装備し航続距離を拡大、さらに風防を機首先端まで伸ばし段差をなくした。

出典:ウィキペディア 百式司偵三型

最大速度は630km/h/6,000mさらに推力式単排気管への換装で約642km/hを記録。派生型として20mm機関砲(ホ5)を機首に2門装備したものは三型乙(キ46-III乙)、更に37mm機関砲(ホ204)を機体背面に上向き砲として搭載した三型乙+丙(キ46-III乙+丙)と称し、従来の純偵察機型は三型甲(キ46-III甲)がある。

1943年12月に試作機の四型がありターボチャージャー搭載で最大速度は630km/h/6,000mを記録したが量産には至らなかった。量産機では三型の流線型風防が風洞試験の結果、段付きの二型と大差のないことが判明したり段付き風防の方が夜間着陸の視界に優れたので段付きに戻す予定だった。

千里を駆けて帰って来る者

百式司偵は600km/h以上の高速と航続距離2,474km/4,000km(落下タンク装備)で太平洋戦争開戦の各戦線で偵察任務に活躍したんじゃが、その尾翼にのマークがある。

これは昭和14年当時、中国戦線で活躍した飛行第18中隊の九七司令偵に描かれたのが最初じゃ、中国のことわざに有る「虎は千里を征き千里を帰る」にあやかって無事に偵察任務を遂行し帰ってこれるようにという願いなんじゃ。

出典:ウィキペディア 虎

なんと縁起の良いマークなんじゃろう、無事に帰ることが難しい時代だからこそ心に沁みます。

LS 1/72スケール 百式司令部偵察機

LS模型がこんなシリーズを出していたのは知らなかった。

百式司偵の各型がモデル化されてる。

これは偵察のみならず本土防空に活躍したタイプじゃ。

機首の形状が異なる三型もある。

中はビニール袋が開封され別の袋に入れ替えてあったのでジャンク扱いになる。

虎のマークが可愛い、猫みたいじゃな。

1/72スケールなのでそんなに大きくない、艶消し、マットな感じのプラじゃ。

部品の作りも模型メーカーで個性があって面白い。

透明部品のキャノピーは接着面を塗装しておかないと接着剤が汚しく見えるので注意。

双発のカウリング、実機は空気抵抗の大きい空冷のカウリング形状に苦心したとか。

部品も小さい、エンジンのシリンダーを銀で塗るとぐんと良くなる。

パイロットが座った高さとエンジンの直径が同じくらい、比べると大きさが感じられる。

組立説明書も個性的じゃ、小さいのに2色刷りなのは珍しいかも。

定価は500円かな・・良い時代だった。

全パーツをの全体図、分かり易いね。

パーツリスト、図と照らし合わせて見るのか。

絵が小さいので年寄にはハズキルーペが欲しくなる。

2名の乗員が祖国の運命を担って偵察任務で数千Kmを飛ぶ、それも敵機が出没する地域を掛け抜けるんじゃ、親族も心配だったろうな。

出典:ウィキペディア 千人針

千人針(せんにんばり)は、第二次世界大戦まで日本でさかんに行われた、多くの女性が一枚の布に糸を縫い付けて結び目を作る祈念のお守りで武運長久、つまり兵士の戦場での幸運を祈る民間信仰なんじゃ、戦地に赴く親族や知人の無事を祈らずにおれない悲しく切ないまじないだった。

機首が別部品なんじゃ、これも個性的じゃ。

主翼を組み立てて、小さいのでフラップが可動とかは無い。

胴体に付けると、らしくなってきた。

エンジンの組立、前後のシリンダーはずらして後ろ側を冷やしやすくする事。

双発なら1個エンジンが故障しても飛べるので心強いな。

キャノピーやエンジン後部カバー類の取り付け。

車輪は接着しなければ格納事が再現できる。

主脚を取って飾り台に置くとカッコ良くなる。

完成じゃ、塗装と転写マークを貼ろう、双発機ってカッコイイな。

今回は連合軍からも美しい機体と評価された百式司令部偵察機でした

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